2010/12/25

2010台北国際花卉博覧会





 台湾・台北市で2010年11月6日から2011年4月25日まで「台北国際花卉博覧会」が開催される。早速、格安航空チケットを入手し台北へ。メインエントランス(写真1)は地下鉄駅のすぐ前、博覧会と言えば人だかり。ここも多分に漏れず驚くばかりの入場者。3日間有効の花博入場チケット購入。買った後、別のスタッフがやってきて「これは3日券なんですよ、いいんですか」と念を押す、3日券を買う来園者はいないのか・・・(結果としてわかったことなんだが3日なんて必要なかった)。さて初日は全体をざーっと見て、2日目ゆっくりと、3日目はもう一度詳細に見ようと作戦を練った・・・が実際は人の多さにあてられて初日と3日目の2日間の見学となった。肝心の内容はどうだったか。月並みな表現だがとても面白く、とてもつまらなかった。

まずは興味深いことから。
1)やはり花卉博覧会といえども近い将来への環境配慮のメッセージが強く伝わる。屋上緑化・壁面緑化、自然エネルギー、雨水利用、新素材、そしてオランダが提唱したエコ都市のすすめや屋上緑化を大胆に取り入れたメインパビリオン(写真3、4)。この建築は中国・福建省の土楼を思わせる形状で屋上を散策できる。視点の高さが少し変わるだけで回りの風景が大きく変わる浮遊感が面白かった。
2)屋外トイレのパーテーションやゴミ置き場、簡易倉庫等に竹が使用されていたことは面白かった。
3)次に花壇や庭園に積極的に使われていたのが「野菜類」。来場者の一番人気は広大な面積を埋め尽くすポインセチアなどのド派手な花壇のようだが、多種多様な野菜でつくられた庭園(写真5)は地味ながら面白かった。庭園と言うものが「菜園」から始まった歴史性を考えると原点回帰とも言えそうだ。

逆に残念なことは、1)おおざっぱな花壇の多さ。広い面積を単種のド派手な花色で埋め尽くす。これには正直疲れた。さて会期終了まで何回植え替えるのだろうか。これは花卉(かき)という消費物の象徴に尽きる。メインエントランスから一番遠い庭園エリアはまだ完成していない様子、どこからか工事の音もしていた。
2)世界庭園エリアには34の庭園がある。台湾の「竹づくしの庭」、オランダの「エコ都市のすすめ」、ブータンの「幸せの庭園」、タイの「ラン温室」、アメリカは内容ないけど「頑張った庭園」、みたいなそれぞれの思いや工夫が感じられた、にも関わらず日本から出展された3庭園(3ブース)はなにも感じるところが無かった。技のすごさもメッセージもなにもない。これは僕が日本人だからか・・・と思い観察するが、結果はその来園者の数が物語る。ほとんどの人が素通り状態。残念。日本の出展者はこの実態を見るべし。

さて、全体総評は・・・庭から受けるプラス感動よりも、人の多さにマイナスイメージ。いやいや大変疲れた。でも行ってよかった。こんな印象とは別に開園1ヶ月少しで来場者数200万人突破のニュースを聞いてこれでいいんだと思った。(一日平均55,000人!)
最後に花茶殿でいただいたお茶(金宣茶)は大変に香り高くおいしかった。【2010/12/11】

2010台北国際花卉博覧会情報 http://www.2010taipeiexpo.tw/MP_6.html

2010/11/23

晩秋のひまわり

 はるかに夏も過ぎ、あの頃の暑さも忘れてしまった。すっかり冬の気配も近づいているのに一面のひまわり畑。このひまわり畑をみても暑さを感じないのはどういう訳か、まったく不思議である。減反の田んぼにコスモス畑はよく見るが、ひまわりとは恐れいった。陽光の方向にすべての花が向いている。つまり道路から見ると全部の花がこちらに向いていることになる。ここのところの寒さで少々元気がないようだが、まだまだ見れる。後ろの山は八幡山。@近江八幡

2010/10/30

森の世代交代

 京都では、ナラ枯れ(=カシ枯れ)といってナラやカシの木々の枯死が目立っている。その被害は大変なものである。これはカシノナガキクイムシ(養菌性のキクイムシ)と言う名の甲虫が特定の樹木に集中して穴を開けて中に卵を産み、そして夏に一本の木から7千以上の幼虫が羽化します。この幼虫が食料としてナラ菌を樹木内で培養する。樹木の幹の辺材部でナラ菌が繁殖した場合に、樹木の通水機能が破壊されて木が枯死する。京都府立植物園でも大径木が次々と被害に遭っている。今年夏についに大きなピンオークが枯死のために伐採された。するとどうだろう、木の樹冠がなくなりぽっかり開いた地面には陽光が射し、沢山の樹木の実生(みしょう)が芽ばえていた。親木であるピンオークの実生を始め、クヌギ、ナラガシワ、アラカシ、ウバメガシ、アカメガシワ、トベラ、ケヤキ、エノキ、ネズミモチなどなど、中には近くにないナンキンハゼまであった。きっと鳥達が運んできた樹木の種子が一度に芽ばえたのだろう。その他、草本類も沢山生えている。この一部を除き、周りの樹林の下には枯葉ばかりで苗木なんて全然ない。これも森の世代交代と言ってもいいかもしれない。でもドングリをつける樹木が短期間に、しかも多量に枯れた時に、その種子を食料とする野生動物にとっては死活問題だ。山野に多様な樹木が、多量に生育する環境が不可欠である。この食料問題は、野生動物の問題ではなく、明日の我々人間の生活にも置き換えられる。@京都府立植物園【2010/10/30】

2010/10/29

停車場ガーデン/時計のアーチ


 停車場ガーデンに時計のアーチがついた。これは国際ソロプチミスト小諸の認証20周年記念として、同団体から小諸市に贈呈いただいたもの。デザインは僕が、アイアンワークは鉄の作家・上野さん、レンガワークはガーデナーの和久井さん、の3名のコラボレーションで完成した。デザインテーマは「歴史を刻む」。場所は、朝夕の通勤・通学の人たちを毎日向かえ見送る場所を選んだ。国際ソロプチミスト小諸の皆さんにこころから感謝。【2010/10/28】

2010/10/20

ソバ栽培(42日目・満開)

 9月7日に蒔いたソバが満開になった、42日目。背丈は少々低いが花の付きは満足できる状態。花に虫も来ている。11月にはソバ実の収穫が期待できそうである。【2010/10/19】

2010/10/09

近江八幡・西の湖シンポジウム


 今日は恵みの雨か、テーマに即した雨か? ちょうど水環境を考える「近江八幡・西の湖シンポジウム」(主催:財団法人ハートランド推進財団)に参加した。午後1時から6時まで・・・つまらなければ途中退散と思ったが、興味のあった地域でもテーマでもあったので幸か不幸かこの5時間は昼寝にならずにすんだ。興味深い話を聞くことが出来たが少々残念で不満だった。なぜならば開催趣旨「西の湖の生物多様性を中心とした地域密着のシンポジウムを開催し、西の湖や水郷などの周辺地域の貴重な自然環境とその保全の重要性について考えるとともに、文化的景観を守るために、伝統的なものの価値を再認識することを目的とする。」とあったにも関わらず話題に上ったのは、西の湖のことばかり・・・素直に考えればこれはあたりまえ。しかし、西の湖を語る上で周辺環境の存在は大切である。西の湖の内湖は周辺を八幡山、丸山、白王の里山、安土のきぬがさ山など、低い丘陵地に囲まれている。丘陵地と水辺が連続するこの豊かな自然環境が生物多様性に深く関わっていることは明らかだろう。そればかりかこのシンポジウムで配布された写真集ばりのりっぱな冊子(これお金かかっているだろうな)にも周辺の丘陵地のことには触れられていない。冊子の表紙(写真上)の写真(西の湖の全景)は八幡山から撮影されている、そして西の湖の背景には安土のきぬがさ山があるではないか・・・にもかかわらずである、話題に一向にその周辺環境の存在が語られない。これは本当に残念である。今日の大きな疑問「なぜ周辺の自然環境は語られなかったのか?」だれか答えてくれないかな〜。最後に今回のシンポジウムの某スポンサー企業のプレゼンテーションは、活動自体はとても大切なことなのだけれど興味を持たせてくれる内容ではなかった。目新しくもない地域貢献の紹介よりも貴重な時間は最後の意見交換に回すべきと思った。【2010/10/09】

2010/10/02

農アート・農ライフ/Kikigakiコラージュ


ボーダレス・アートミュージアムNO-MAの地域交流事業「農アート・農ライフ」の2回目。今回は、浅小井地区(近江八幡と安土のほぼ中間地域)の「農」を親子三代農家の井上さんに案内していただき、見聞したことを「Kikigakiコラージュ」としてまとめる。井上おじいちゃんには「縄ない・しめ縄づくり」、お父さんには「作物案内」、お兄ちゃんには「農機具案内」をお願いした。僕はお父さんの「作物案内班」。ちょうど大豆、黒豆、小豆、トウモロコシの収穫を間近にひかえた畑でそれぞれを「生食」で頂くことができた。これには子どもたちも楽しめた。経費節約で肥料も農薬も与えない畑には、昆虫も沢山、葉っぱのほとんどは食い。しかしその場で収穫物を味わえたことは幸せにつきる。数日後に収穫をむかえる生トウモロコシの甘さは格別、新しい品種として救世主となるか・・・その名も「ゴールドラッシュ」!午後は、集落の中心でもある「湧水広場」での利酒ならぬ「利水」大会と午前中の見聞を一枚のボードにコラージュした。3班それぞれの仕上がりだった、難しくコラージュと言っても、それぞれが思い思いのことを描けば自然とコラージュとして出来上るのだった。お天気にも恵まれ楽しい一日だった。@浅小井、近江八幡市【2010/10/02】


2010/09/29

ソバ栽培(21日目・開花)


 ソバが開花してしまった・・・ちょっとこれは誤算。開花が早すぎる、背丈が高いところで30cm、平均で25cmぐらいしかない。花の付き具合は悪くはないようだ。しばらく様子を見よう。【2010/09/29】

石碑を動かす

 高校の校舎横のポケットパークに石碑(甲子園出場記念)を移設する。総重量は350kgを楽に越すだろう。普通ならユニック車で吊り上げ、下ろす・・・といった簡単な作業のはずがここでは車が入ることが出来ないので、石碑をいったん台車に乗せ、人力で台車を押し、チェーンブロックを使って据える・・・といったほとんど人力作業となった。作業にきてくれた若い職人さんは実際に使ったことが無い。そこで自分も手伝うことにした。チェーンブロックは何度も使ったことはある。さて建築の分野では現場で職人さんに混じって一緒に仕事をするなんて出来ないが、造園の分野ではそれが出来る。役割分担として設計者が作業に手を出すことは職人さんに対して失礼なこと、だが今回は許してもらう。作業をしながら、面白さもしんどさも味わった。@近江兄弟社学園【2010/09/29】

2010/09/23

ナンバンギセル現る

 春に完成した庭に植えた斑入りススキ(タカノハススキ)の株元に「ナンバンギセル(南蛮煙管)」が開花した。この風変わりな植物は、ススキに寄生する一年草。一見、トキソウにも似た風変わりな頭でっかちな赤紫の花は偶然と言え華を添えてくれた。来年も出てくれると嬉しいのだが。@近江兄弟社学園武道場の庭【2010/09/22】

2010/09/18

ソバ栽培(播種10日目)


 種蒔き10日目のソバ苗。8割程度はすでに本葉が出てきた。背丈は10cm程度。ソバは、タデ科ソバ属の一年草、学名は Fagopyrum esculentum。英名は Buckwheat、種子の形が三角形でブナ(beech)の種子に似ている小麦(wheat)のような作物と言う意味から。今、山間地のソバ畑では鹿の食害被害が多い、皮肉にも英語のbuckは雄鹿の意味もある、つまり「鹿の小麦」。鹿たちはこのことを知ってか知らぬか、実ったソバ種を口でしごくように上手く食べてしまう。【2010/09/18】

2010/09/16

もりの風こども園

 今日は、滋賀県守山市で始まった「もりの風こども園」の現場定例。ランドスケープの工事はもう少し後だが、今から見るべき処は見て調整・変更をする必要がある。場面によっては建築工事への要望も出す必要がある。これから当分は大きな作業が続くので目が離せない。写真は、建築躯体のコンクリート打設作業。今日は比較的涼しい一日、現場の職人さんはすこし作業が楽になっただろうか。@守山現場【2010/09/16】

2010/09/15

記憶をたどり庭巡り・・・



  京都の庭を見るために訪れた宮城大の森山先生、札幌市立大学の吉田先生、そしてその学生さんと曼殊院(写真上)、詩仙堂(写真中2枚)、法然院(写真下)を一緒に巡る。曼殊院と詩仙堂は20年ぶりにもなるだろうか。かつての記憶を辿るも、情けないことに断片化した庭の風景だけだ。さて当の庭というと今年の猛暑のためか枯れ枯れになったコケが痛々しい。曼殊院(1656年)、詩仙堂(1641年)といずれも江戸時代の作庭、今の庭を眺めかつての風景を想像してみたが、結局のところ以前見た時より樹々が大きくなってバランスが悪くなったとか、サツキの刈り込みが大きくなった・・・とか自分の記憶と目先の風景が上回った。さて戻って古いガイドブックの写真を見てみると形は若干いびつになってはいるがさほど変わっていなかったことに驚いた。つまり庭自体は20数年前とほとんど変わることは無かった。ところが名庭園の門を一歩出るとかつての農村風景に代わり、周りはすっかり建て売り住宅地が迫っていた。これを機会にもう一度、庭園巡りをしてみようかな。【2010/09/15】

2010/09/12

ソバ栽培(播種5日目)

 小学校で9月7日に蒔いたソバ種が発芽してきました。からからの地面にうっすらと緑色のふた筋が見えます。今日でちょうど5日目、双葉が出そろった感じです。幸い蒔種した翌日は台風で恵みの雨、その後は雨無しのからから天気、でもさすがソバ。ガンバっています。上手くいけば10月初週には花を見ることが出来るでしょう、これからの成長が楽しみです。【2010/09/12】

2010/09/09

デザインのその前に・・・

 新しい子どもセンター・プロジェクトの現場が始まった。基本的な計画は既に出来ているがこれからどんどんデザインをつめていかないといけない。学生なんかはデザインと言う言葉に憧れ、また格好よく聞こえるかもしれないが、大切なのはデザインの前の下調べと現場での調整。デザインと言う言葉の語感からくる作業とは大違い。今日は敷地の周りの溝の位置とその深さ、高さを再度確認して歩いた。そして周りの風景をもう一度頭に入れ直した。今日は台風一過で秋の風になったのがありがたい。数日前までの子どもたちとの共有体験がこの後の子どもたちの暮らす場づくりのためのデザインに無くてはならないモノになる。@守山【2010/09/09 】

2010/09/08

ソバ栽培(播種0日目)

 今日は近江兄弟社小学校4年生とソバ蒔き。播いた品種は「キタワセ」、ミャンマーで昨年末に収穫された種である。これから4年生の彼らがソバの栽培・収穫〜ソバ打ちまでのプロセスを体験しようというもの。今週末にはソバの若苗が見れるはず。【2010/09/07】

2010/09/06

京都北山・花背の森・そして好奇心菌

 京都市立K川小学校5年生160名と森歩き。プログラムには「野鳥観察」とあったが今の季節、野鳥観察は難しい。すっかり繁殖期を終えた鳥たちはそんなに鳴かないのである。鳴かない鳥たちを森から探すのはなかなか大変な作業だし、そもそも午前・午後半数に分ての森歩きだが限られた時間の中、これだけの人数が一度に歩くと鳥も出てこない。そんな訳で何と出会えるのかわからない森歩きとした。午前班の記録:9時40分林道の斜面でジムグリ(蛇)、9時50分ツガの幹にカマドウマの仲間(コオロギの一種)、10時00分シマヘビ発見、ヘビを捕らえて子どもたちに触ってもらう。男の子も女の子もどんどん触る。そろそろ放すぞ言ってもまだまだ触る。ヘビには大災難と思ったがこんな機会もめったに無いので捕らえた。捕らえた時にほんの少し噛まれた傷口から血が出ているのを子どもたちが心配してくれる、でも大人がぎゃぎゃ騒がなければヘビだって怖くない生きものと体験できる。もちろん近寄ってはいけないヘビの話も忘れてはいけない。10時10分イノシシのぬた場、10時20分ヤマアカガエル(もちろん触る)、10時25分ナナフシ(やっぱり触る)、10時30分カミキリムシの仲間(さらに触る)、10時40分上空にクマタカの飛翔を見る(山頂にて)、10時50分オオセンチコガネ(鹿の糞を食べるコガネムシ)、うんこを食べると言った時にはひき気味だった子どもたちもその体の不思議な赤紫色に輝くコガネムシに惹かれ手に取り見る。でこうやって見ると5〜10分おきにちゃんと生きものが登場しているではないか、しかも太く短いほ乳類の大腿骨なんかも見つけて大はしゃぎだった。一緒に歩いた先生方からは「汚い、危ない、触るな・・・」そんな言葉が一切無いすばらしい教育。さらに僕がすごいと思ったことはM先生(写真後ろ姿)のザックには前日拾った鹿の大きな骨と、この時の大腿骨が収められていたことだった(もちろんビニール袋に入れてだが)、後で聞くとちゃんと調べるためだそうだ。こんな魅力的な先生のもとで子どもたちは惜しみなく好奇心を開き、自然の不思議に引き込まれていくんだろうなと思う。彼らの体には「好奇心菌」みたいなものがびっしり着いているに違いない。植物が健康に育つには「土壌菌」が必要、子どもが心身ともに健康に育つには「好奇心菌」が大切。一日楽しい森歩きだった。【2010/09/06】

2010/09/03

風に揺れるヒョウタン・ガーデン

 久しぶりに植物園に出かける。さすがにこの暑さ、日曜日なのに来園者は少ない。森も全体に水切れなのかいつになく元気が無い。季節がら花も少ない。そんななか一番奥のガーデンにある「ヒョウタン・ガーデン」は今年はすごく充実。くねくね、ひょろ〜り、ころん、ぶつぶつ、でこぼこ、びよーん・・・こんなヒョウタンもあるんだと驚く。中には女性の背丈ほどの大物もあり。あまりにも重いのかカゴに入れてもらっている物もある。よそ見をして歩くとヒョウタンとぶつかってしまう。地面に映るヒョウタンとツルの陰が面白い。【2010/08/30】

2010/08/29

わら、土、泥団子、そして生物多様性



 今夏のボーダレス・アートミュージアムNO-MAの地域交流事業は、「NO-MAアート倶楽部」と少し名前を変え、実施。今年のテーマは「農業」と「アート」を結びつけた=『農ライフ 農アート』。今日はその第一日目「シードボール、シードペーパーづくり」。前半は、稲繊維をベースに(つなぎはちょっと我慢で牛乳パックを利用)草花の種子を入れた紙すき(写真上)。後半は、参加者に持ってきてもらった丼一杯の土で「種入り泥団子」づくり。去年行った八幡団子(種入り泥団子)は、欲張っていれた種子のおかげで団子が粉々になってしまった。発芽の力ってすごいと・・・・勉強になったが。だから今年は団子の頭に小さな孔を開け、そこに種子を数粒入れることにした。(写真中)孔を開けた泥団子は、どこか宮崎アニメの脇役顔のようでもある。なかなかかわいい。孔に種を入れて、土の栓をして、もう一度形を整えて出来上がり。乾燥させれば短期間の保存もできる。このままお皿にのせて定期的に水を与えれば発芽するはず。中には、おにぎり型やサイコロ型、こんなのもあった・・・うんこ型けっこうリアル(写真下)。春からの企画会議も成果があって、まずは第1回目が無事終了・・・後片付け、ふりかえり会。気持ちよく車で琵琶湖沿いの帰路、そして寝ながらの振り返り・・・「アート」のことはよくわからないが自然のことならよく理解できる(と思っている)。「水→稲→昆虫→魚→ヒト→堆肥→バクテリア・菌→土・・・」わら一本から生物多様性のこと子どもたちに解説できる〜なと、そして程よい疲れで眠りについた。でもいつものことながら頭ん中はそのことを考え続けていたみたい。突然、んっ?!と目が覚めた「種入り泥団子」って「地球」、「地球とは生物多様性の泥団子」か。僕が会の最後に言いたかった言葉はこれだった。子どもたちは様々な種子の入った泥団子を手のひらで大切に大切に、ある時は少々荒っぽく転がしていた。少々のことでは壊れはしないが、どこか一箇所に力を加えすぎるとそのひずみで亀裂が入り全体が壊れてしまう。微妙なバランスで成り立っている。あの時、きっちり言えなかったのは痛恨のミスか、それともこちらが心の中に大切にするぐらいがいい塩梅か。今度はどこかで「泥団子の生物多様性」の話をするか。【Photo:2010/08/29】

2010/08/19

「いい自然とあかん自然」って?

 今日は滋賀県立大の学生たちが小学生対象に主催する「西の湖の生きものを知ろう」に協力参加。フィールドワークを終え、まとめの作業である学生が子どもたちにした説明「ヨシ原にはいっぱい生きものがいる。沢山の生きものがいると楽しいやろ?人が楽しいと思える自然はいい自然、人が楽しくない自然はあかん自然や」。これにはまったく驚いた。例えには不適切、そんな簡単な解釈はできないだろうし、説明としても重大なミス、まったく間違った認識。極端な例で言うと、芝生広場を見て楽しいな、区画整理の水田を見てきれいだなと思う人もいるだろう、方や在来種豊かな草原を見て美しくない(ただの雑草原)と感じる人もいるだろう。だったら芝生広場や区画整理の水田は「いい自然」で、草原は「あかん自然」なのか? どう考えてもおかしい。僕が思うに「いい自然とは、在来より生息する動植物群が健全に暮らすことのできる環境をいい自然。あかん自然とはこの逆の環境。」さらに加えるなら、「その自然の中で暮らす人間の生活がバランスよく成り立ち、維持されている場所が優れた環境。」これでもまだ不十分だがほぼ同程度の字数で説明するなら、最低この程度の説明をしてほしかった。この時はこころから参加を後悔した。でもソーラー発電で動く遊覧船での西の湖巡りでは、ミサゴ、アマサギ、ウチワヤンマなど沢山の生きものが姿を現してくれて楽しかった。感謝。【2010/08/19】@西の湖、滋賀県近江八幡市

2010/08/14

あなたのすみか、私のすみか

 昨日と今日の二日間、近江兄弟社小学校学童保育「ノア」で夏休みプログラム。アジアを旅して思ったこと「子どもの優しさの源はなにか」、それは衣食住のほぼすべてを自分たちで作り、解決できること。子どもは子どもとして一社会人であること。必要最小限の上で成り立つ生活と心の有り様。そんな漠然としたコンセプトから「あなたのすみか、私のすみか」を考えた。子ども達が自分の住処(すみか)を作り、一緒にご飯を作り、暮らす。これを二日間で行った。初日は自分の住処の設計図を考え、段ボールで住処を造る。この作業は一人でもいいし、共同で行ってもいい。女の子は比較的一人一人自分の好きな家を造る。限られた量の段ボールなので中に入るのは少々難しい。屋根や壁には、お花やハトが描かれ飾られる。男の子は何人かの共同で家を造る。共同だから段ボールの量も有効に使える。結果、大きな段ボールハウスが出来上がる。中を覗くとむんとした空気の中、ごろごろと4人も寝っ転がっている。昔、自分も遊んでいた「秘密基地」の空気があった。二日目は、「片手の平に乗る野菜を一個持ってきて」を条件に持参してもらった食材で「夏野菜スープ」と「ピザトースト」をみんなで作る。このランチを段ボールの「ノア村」で食べる。食後は、夏の定番「スイカ割り」。あっと言う間の二日でした。【2010/08/11】

2010/08/08

蓼科そば博士のそば畑


 今年も蓼科のそばプロジェクトが始まった。「そば博士のそば畑」にそばの研究者・氏原煇男先生、大西近江先生の指導のもと参加十数名で秋そばの種を播く。今回は100m2を手播き(筋播き、約400g)、300m2を機械播きで行った。さわやかな風の中、気持ちいい作業だった。数日後には発芽し、約2ヶ月後の収穫が楽しみだ。写真上:手播き作業中、写真下:前列左/氏原暉男先生、前列中/大西近江先生 【2010/08/07】

2010/07/23

蘇る鐘の音

 近江兄弟社小学校前庭の片隅の木に吊り下げられた古い「鐘」を見つけたのは去年のこと。一目見てこれはどこかで活かさないといけない・・・と思った。ただし自分の所有物ではないので勝手に使うことはできない。機会は意外には早くやってきた。今年は小学校4年生の夏キャンプに社会人講師として呼んでいただいた。この夏キャンプのシンボルとして使おうと・・・さっそく担当先生にご提案。実はこの鐘、兄弟社学園創立者のW.M.ヴォーリズさん(一柳米来留)と一柳満喜子先生が使われたものと使う段になって聞いた(今まで学園で歴史を刻み続けてきたが何かの理由で忘れ去られていたものだった)。嬉しいことにその鐘の音が再び子どもたちの耳に届くこととなった。この手の物は、普通ならばガラスの陳列棚に想い出の品として飾られてしまうだろう。しかし本来は満喜子先生が日常的に使われていた物、ならば学園の歴史のなかで子どもたちを見守ってきた鐘を再び使いながら守り伝えることが大切。このような保存を「動体保存」と言う。これこそ正しい保存である、なんとも贅沢で、保存の王道とも言える。近江兄弟社学園の魅力はこんなところにもある。写真左下の灯りは、近江兄弟社学園校舎。【2010/07/22】

2010/07/13

停車場ガーデン/コンテナガーデン&ハンギングフラワーバスケットコンテスト



 長野県小諸市の市民ガーデン=停車場ガーデンの「コンテナガーデン&ハンギングフラワーバスケットコンテスト」の審査を行う。コンテナガーデン、ハンギングフラワーバスケットの吊り下げの部と壁掛けの部の計3つのカテゴリーに47点の作品が集まった。思ったよりも力作ぞろいなので審査も楽しめた。5つの審査項目に沿って吟味をした結果、審査員6名の意見も大きな差はなくほぼそろった。僅差の判断は審査員全員がその都度、作品を前に議論を行った。写真上:小諸市長賞(総合賞)を前に新聞記者からのインタビューを受ける応募者。写真中:ハンギングフラワーバスケット(壁掛けの部)の金賞(タイトル:線香花火)。写真下:ハンギングフラワーバスケット(壁掛けの部)の銅賞(タイトル:これでも畑)見た目はともかく、僕が一番気に入った作品、14種類の野菜・ハーブが寄せ植えされている。【2010/07/11】

2010/06/29

雨の植物園

 久しぶりに府立植物園に行く。入園早々、土砂降りに遭う、近くの休憩所で雨をやり過ごす。これだけ盛大におしみなく降るとなかなか気持ちのいい雨に思え、近くの林を見ているとマレイシアの熱帯雨林さえ想い起こさせてくれた。短時間ながら木々がどんどん元気になっていくようなシーンだった。我々、かちかちの地面と河川に囲まれた都市に住む者とっては厄介な雨も、木々にとっては恵みの水に違いない。この雨、きっと鴨川をすごい流れと変えているに違いない。鴨川の岸辺に発電水車が並ぶ日も近いと思う。【20100629】

2010/06/11

屋上緑化と地域在来種 その3 生育調査

 屋上緑化の第一回生育調査を行う。50本のプランター毎に植え付けた植物の生育を記録する。この調査は、アトリエ風+近江花勝造園+ラーゴとの共同で今後一年間に渡って実施する。@近江兄弟社学園、滋賀県近江八幡市【2010/06/10】

2010/06/10

ホームを耕す

 出張先の長野県・篠ノ井駅で興味深いものを見つける・・・それはプラットホーム菜園! 小さい場所ながらもシシトウ、ピーマン、トマトなどの野菜が育てられている。ありきたりの植栽・・おおよそ何の工夫も無く、管理もされず、仕方なく植えられているツツジなんかよりもずっと面白く創造的。今後が期待される。誰が育てられているのか、今しがた水を撒いた形跡があった。電車を待つ時間が楽しくなる。【2010/06/09】

2010/06/04

屋上緑化と地域在来種 その2

 滋賀県近江八幡市の近江兄弟社学園の武道場屋上緑化の完成。直径25cmのチューブに地域在来種の苗、種子を入れ設置した。基本的にはメンテナンフリーとした、もちろんチューブの中の客土には、屋上の鋼板の耐荷重、乾燥防止などに対処するため少々の秘密をしかけた。今後、毎月の生育調査を行い、成長を見守る。【2010/06/04】

2010/05/30

庭を旅する/第八歩 旧水口図書館+水口教会 ★★★☆☆


 写真上=旧水口小学校図書館(1928年、国登録有形文化財建造物)、写真下=水口基督教会館(水口教会 1929年)、共にW.M.ヴォーリズ氏の設計による建物。旧街道に面しているものの町並みの軒先から一歩下がってたたずみ、決して目立たず、しかしきっちり自分の居場所を伝える意匠はさすがにヴォーリズさんの設計。細かなディテールへの気配り、簡素でありながら清潔感にあふれ、なによりもチャーミングだ。このデザインの立ち振る舞いは、京都御幸町教会、今津基督教会館(今津教会)はじめその他の教会にも共通する。こんな建築が身近にある町っていいなと思う。むろん両者とも現在も大切に使われ、あるいは大切に守られている。・・・ただ、ただ残念なことは、せっかく建物がちゃんと守られているにも関わらずその周り、つまり庭にどうしてこんなにも頓着しないのだろうと思う。建物と庭は個別のものではなく、連続して初めて一つの優れた空間になる。かつてそうだったように、もう少し手を加えるだけでその魅力がぐっと増すことは目に見えている。やっぱり残念。【2010/05/30】

2010/05/29

庭を旅する/第七歩 大山崎山荘美術館 ★★★★☆




 アサヒビール大山崎山荘美術館で開催されている「美しきカントリーライフ〜理想郷への回帰とたびだち」=(19世紀半ばから20世紀前半のフランス、イギリス、日本に焦点を当てた芸術家たちが求めた田園での芸術家村コミュニティーが紹介されている)を観に行く。本美術館は、京都・大阪間の天王山の中腹に位置し木津・宇治・桂川の三川を望む、大正から昭和初期にかけて加賀正太郎(1888〜1954)によって建築された「大山崎山荘」(登録有形文化財)を本館として、建築家・安藤忠雄設計による新館(1995年竣工)とともに公開されている。アルピニストだった加賀正太郎が英国で見たチューダー様式の建築に感銘を受け建てたと言われる。なだらかな丘陵の地形を活かした配置と庭園は、なかなかすばらしい。それにもまして驚いたのは新館。古くから存在していたであろう木々と池を中心とする庭園を損なうこと無くコンクリート打放しの構造物をすっぽりと地面に埋め込んでいる。庭園の池、木立越し見える新館の一部は池の向こうに滝があるかのようだった。さすがである。しかし本館と新館の取り合い部など首を傾げたくなるようなディテールも目につく(こんなところは普通の人は気にしないと思いつつ)、また本館テラスの睡蓮池に沿う温室棟の感情豊かなデザインと職人技を見ると今の建築が軽く薄っぺらに見えてしまう(新館が云々ではなく)。加えて、この手の施設にありがちな庭園の維持管理と活用への配慮が十分にされいないことも例外でなかった、つまり庭園木を残せば風景が保てるというのではなく、時には樹木を伐ってでも風景を守らないといけないこともあると言うこと。かつてあったであろう建物と庭園の関わりがさほど大切にされていない、このあたりちょっと残念。写真1:美術館玄関と本館、写真2:庭園越しの新館、写真3:本館テラスと睡蓮池、温室棟、写真4:温室棟(残念ながら入れません)【2010/05/29】参考:アサヒビール大山崎山荘美術館、入館料・一般700円、月曜日休館、午前10時〜午後5時 http://www.asahibeer-oyamazaki.com