2008/10/31

NI-WA=NO-MA・その5=シードボール「かいわれ団子2」


NO-MAの庭のシードボールを見る。泥団子の間からもくもくと沸き立つ雲のようなみどりの若葉がきれいだ。良くみると3種類ぐらいの草花が発芽しているようだ。小さな泥団子が、小さな緑の団子へと変化し、それらが造る大きな緑の塊。これからの成長が面白そう。
【2008/10/31】

2008/10/28

NI-WA=NO-MA・その4=シードボール「かいわれ団子」


シードボールから根が出てきてあわてて地面に並べてから2週間(*2)が経った。真っ先に根をボールの表面から出した種のほとんどは枯れてしまった、根が太陽に照らされ乾燥したからだ。一方、根をボールの中に伸ばし、あるいは根が本来の地面に達した種からはようやく双葉が出始めた。ご覧のようにシードボールは、「かいわれ団子」と化してきた。かちかちだった泥団子も発芽の力でひび割れがいっそう進んでいる。シードボールの下の土中に埋まっていたスイセンは地表を泥団子でおおわれ元気な感じ。【2008/10/28】
*1シードボールを作った日/10月11日
*2シードボールを地面に並べた日/10月15日
Photo : 撮影/柴田理恵子(NO-MA)

2008/10/25

庭を旅する/第四歩 桂離宮(京都)★★★★★

 仕事で桂離宮に行く。前夜からの雨でお庭全体が瑞々しく大変に美しい。ここ桂離宮(*1)の庭はいろいろユニークな試みがされている。茶屋の窓からの風景、灯籠の形、園路の床材、飛び石の形などどれもすばらしい。このお庭を見るには事前に宮内庁に参観申し込み(*2)を提出しなければいけない。そこで今日は参観申請をせずに(*3)桂離宮の特異性が見れる庭を紹介。
 桂離宮の表門から左に道路(東方向)を進むと間もなく高さ2.5mほどの緑の壁が見える。これが桂離宮でしか見ることが出来ない「笹垣」、生きた竹を枝折る(しおる)ことで造られている。内部は「建仁寺垣」と呼ばれる竹垣があり、その表面に生きた竹が固定されている。この「笹垣」は、10年毎に造り換えられる(更新)と教えて頂く。この10年という年数は、内部の「建仁寺垣」の耐用年数と竹の寿命とが上手く合致している。この「笹垣」に使われる竹は2〜3年生竹、この竹の寿命が約12〜13年。「笹垣」は、この新しい竹の幹に切り込みを入れ、ねじりながら枝折り「建仁寺垣」の頂点から地面にそって固定することによって造られる。横から見れば地面から生えた竹(垣の庭側)が湾曲して、(庭の外側の)地面に入っていく感じ。つまり竹の根元(庭側)と頂点(外側)は地面にある。使われる竹は建仁寺垣の近く過ぎると上手く曲がらない、遠く過ぎると無駄である、そのため建仁寺垣と程よい距離を保っている。「笹垣」を造った後は、垣近くに生える竹を伐りながら手入れされる、垣を作り替える数年前からは(垣から)程よい距離に生える竹を育てていく。この将来を見据えた管理時間の計画と技術そしてユニークさに驚く。庭を手入れすると言う言葉の意味を凝縮した話しを伺うことが出来た。
 余談だが多分、この「笹垣」を乗り越えようとしても足がかりとなるはずの竹の枝葉は滑りやすく、しかも下を向いているので登れない。風景と機能を両立させたすばらしいアイデアだと思う。
【2008/10/23】

Photo(上):道路に面した笹垣(表側)、人為的に固定された竹とその背後に自由にゆれる竹との対比が美しい。
Photo(下):笹垣の裏側(つまり庭側)、竹のしなり具合がよく判る。

*1 桂離宮(かつらりきゅう):17世紀の初めから中頃までに、八条宮初代智仁親王と二代智忠親王によって造られたもので、日本庭園として最高の名園といわれています。昭和8年(1933)ドイツ人建築家ブルーノ・タウト(1880年〜1938年)が桂離宮を拝観、「泣きたくなるほど美しい」と絶賛。海外にその存在を紹介する。
*2 参観申し込み/宮内庁ホームページ http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/katsura.html
*3 笹垣、穂垣、表門は外部に面しているので許可書がなくても誰でも見ることができます。

2008/10/22

アーボリストと言う職業(1)

「庭にはイノチの風がふく」に奈良から参加してくれた大学の後輩・木登り庭師(*1)小林君がフリーペーパーに掲載している樹木エッセイを送ってくれた。彼はイギリスで高木の維持管理手法を学んできた。街路樹に20mをはるかに超し、直径1m(歩行者の目の高さで)以上の太さの樹木があたり前に道路際や公園、歩道空間に生育するイギリスで生まれた技術。言い換えれば、木が成長することは新陳代謝の結果である枝葉を下に落とすことを意味する。それは歩行者にとって時として危険であり障害となる。そのために歩行者の安全を守るために木を伐るのではなく、ちゃんと手当(管理)を行うという考え方である。残念ながら日本ではこのように技術は発達しなかった。なぜなら歩行者の安全のために伐るからである。(悪いものは元から絶つと言う訳だ=木が悪者になっている)元々、木を伐って植える技術(この植える技術はすばらしい)があるからだ。しかし今の日本の街中から優れた(生態的も風景的にも)樹木がなくなる現状では、伐ることよりも残すことを優先すべきだ。今までここは大丈夫と思われていた神社・お寺の森にまでその危機はやってきている。さすがに木をバッサリと伐られることは少ないが落葉・落枝の苦情で(やむなく)立派な枝を切られることは日常的に行われている。見るも無惨な姿となった樹々が多くある。切れば良いってもんではない、元来、日本庭園で培われてきた切って育てる・育てるために切る考え方が現在では欠如している。悲しいことに今や神主や住職までもが落葉を嫌っている。そして造園屋は、庭木の剪定に関しては世界に誇る技を持っているが、自然樹木の管理に関しては全くといっていいほどできない。今こそ必要なのが小林君が学んできた技術、自然樹木・樹林の「手当・世話」をどう考えるかと言う技術と身体的な技である。
 さて話しを彼の樹木エッセイに戻し、僕は今日は皆さんにこの質問をします。「あたなの好きな木はなんですか?」【2008/10/21】

*1:木登り庭師=アーボリスト 高さ30mを超える高木の特殊剪定・管理技術。クライミングギア大国イギリスならではの技術応用で、岩登りの技術と道具(ザイル、ハーネスなど)を駆使して、英国王立植物園が培ってきた樹木管理を基本に、樹木の生育環境に不可をかけず、かつ安全に行う樹木管理技術および技術者。

庭にはイノチの風がふく


去る19日に「庭にはイノチの風がふく」庭話を巡る話しと歌やスライドの会を行った。沢山の方々に集ってもらえた。僕の話しは、家には大別して「かたい家」と「やわらかな家」がある。「かたい家」とは壁構造の家、「やわらかな家」とは柱構造の家。この二つは、虫の体(外骨格)とヒトの体(内骨格)に例えた。前者は石造、レンガ造など壁で支える家、自然を生活内部に取り込もうとして様々な工夫で「庭園」が発達した。一方、後者は柱で支え壁は外と内、間仕切り程度の緩やかな移動性の壁を持っているので必要に応じ自由に部屋を増やせことが出来る、また簡単に自然を内部に取り込めた。結果、家の内部さえも庭に、庭さえもリビングになってしまう自由さも持ち合わせていたために「庭園」のようなものに頓着しなかった(もちろん日本庭園のような特別な世界もありますよ、しかし日本庭園もいかに自然を内部に、精神的に取り入れようとした結果の庭)。両者ともに地域の環境を読み取った結果できた優れた建築であり庭である。さまざまな自然環境のなかで、さまざまな自然観をもって人間の暮らしが成り立っている。旅の中で巡りあった多くの「ニワ」にはまさに「命」の風がふいていた。そんな思い・気づいたことを「ニワ論・にわ感」として伝えた。なにぶん時間の制約もあり慌ただしさだけが残ってしまった感もある、反省。もう一度、今後は連続企画として続けたい「庭にはイノチの風がふく」だった。感謝。
【2008/10/21】

2008/10/20

市民ガーデン(2)国交大臣賞に選定!

今春から検討を始めていた「小諸コミュニティガーデン計画」を第19回「緑のデザイン賞」(都市緑化基金、第一生命主催、産経新聞社など協力)(*1)に応募した(8月)。やっと結果(10月16日8時3分配信 産経新聞)が出た、めでたく国交大臣賞に選定! これで一息、ただし計画コンセプトはこの公園を市民の自力施工でしようと言う新しい試み。受賞したのはいいがこれからが本番、さてどのような体験が生まれるのか楽しみである。【2008/10/19】

*1 : 緑のデザイン賞=都市緑化基金が第一生命保険相互会社の共催により、地域社会の質的向上を目指し、全国の公共団体及び民間の団体から新たに提案される緑化プランを募集し、優秀なプランに対してその実現のための助成を行うもの。

2008/10/17

NI-WA=NO-MA・その3=シードボール「ならべる」


NO-MAのスタッフ=Sさんより突然の連絡を受ける。先日作ったシードボールが大変なことになっていると・・・行ってみるとなんとすでにレンゲの種が発根し始めている。握りの弱い団子はすでにばらばらになっている。急遽、乾燥を待たずにNO-MAの庭に並べることにする、ちょうどそばにあったフラフープをフレーム代わりにして、中にシードボールを並べる。なんとぴったしフラフープの中に収まった。これらの団子たちがどのように変化するのか楽しみだ。それにしても早すぎる発根だった、植物の力にあらためて驚く。【2008/10/15】

2008/10/12

NI-WA=NO-MA・その2=シードボール「つくる」



ボーダレスアートミュージアム・NO-MA 地域交流事業「NI-WA=NO-MA」の第二回目。今日は前回の泥団子の素材にあらたに水田の土、草花の種(十数種類)を混ぜ「シードボール(称して八幡団子)」を作る。大きな手で小さなボールを作る人、小さな手で特大団子を作る人。2時間の間に大小約120個以上のピカピカのシードボールが出来あがった。これをゆっくり日陰で乾燥させ(急に乾燥させるとヒビがはいるので)、庭に並べる。シードボールは冬を越し、やがて発芽の条件がそろえばさまざまな草花の芽がボールから出るはず。夏前にはNO-MAの庭も花いっぱいになるだろう。【2008/10/11】
Photo上 : 水田の土と草花の種子を混ぜ合わせる. 
Photo下 : 出来あがったシードボール. なんだかおいしそう。

2008/10/04

庭づくりの隠し味「混ぜる」

庭づくりは身近で小さな空間に植物の生態系(群落)を生み出すことだと思う。街の中で良く目にする単一植物(主に一年草)ばかりだと手間もかかるし、費用も馬鹿にならない。そこで多年度に渡って庭を楽しむためには宿根草(*1)を基本とする植物の群落を創ることが大切。参考書を見ると植物の組み合わせとか、色の組み合わせとか、いろいろと難しいことが書かれている。また本によっては、異なることが書かれていることもある。そんな時は、自分が育ててみたいと思う植物を植えてみれば良い。植物自身が成長していく中で他の植物との関係を生み出していく。それを見ながら新しい植物を加えたり、すでにある植物を引いたり(つまり足し算引き算をする)すればいい。その時のコツは、「まぜる」こと、ただし1株づつ交互に植えて混ぜるのではなく、同じ種類または同じ仲間を数株まとめて植え、かつその他の種類と混ぜること。言い換えれば同じ種類ごとに小さな「島」を造り、別の種類の「島」と重ねてゆくこと。混ぜることによって、庭に奥行きや変化が生まれる、病虫害も起こりにくい。【2008/10/04】

Photo : 生垣も混ぜることで季節の変化を楽しめる、病虫害も起こりにくい。シャリンバイ、ウバメガシ、西洋イボタ(プリペット)、トウカエデ、イロハモミジなど5種類以上の木が混食されている。まるで上空から森を見ているようだ。昔の庭屋はなかなか面白いことしたもんだ。@京都市立美術館

*1 宿根草(しゅっこんそう)は、多年生の草本のうち、生育に適さない時期(多くの場合冬であるが、夏のこともある)には、地上部が枯れてしまうが、それをすぎると発芽して、再び生育を始める草本類植物(樹木は木本類と言う)。ただし最近は常緑性の多年草も含め宿根草と言う傾向にある。

2008/10/02

風車をつくる(2)




近江兄弟社小学校・風車づくりのワークショップ(WS)から出された4つの班案をまとめた。それぞれ工夫と悩みがかいまみれ面白い。これからより具体的な設計に入るために明日は全校生徒に4つの案を説明・人気投票を行う。このような形であってもWSに参加出来なかった子どもたちにも少しでも多くの機会をもって風車づくりに関って欲しいと思う。どれか一つにしぼると言うことではなく、全部のアイデアから良いところをいただこうと思う。【2008/10/02】

Fig:4つのグループから出された案をまとめたもの。
■第1班:昔、水田で活躍した「じゃぐるま」を利用する。
■第2班:風車で水車をまわして水を動かす、水車の形に工夫。
■第3班:風車の回転を利用して手押しポンプを動かす。連結部のウデ部分に工夫。
■第4班:自転車の車輪を利用した風車、回転すると電灯も点灯する。計画地に立っている電柱に風車を並べる。