近江兄弟社小学校前庭の片隅の木に吊り下げられた古い「鐘」を見つけたのは去年のこと。一目見てこれはどこかで活かさないといけない・・・と思った。ただし自分の所有物ではないので勝手に使うことはできない。機会は意外には早くやってきた。今年は小学校4年生の夏キャンプに社会人講師として呼んでいただいた。この夏キャンプのシンボルとして使おうと・・・さっそく担当先生にご提案。実はこの鐘、兄弟社学園創立者のW.M.ヴォーリズさん(一柳米来留)と一柳満喜子先生が使われたものと使う段になって聞いた(今まで学園で歴史を刻み続けてきたが何かの理由で忘れ去られていたものだった)。嬉しいことにその鐘の音が再び子どもたちの耳に届くこととなった。この手の物は、普通ならばガラスの陳列棚に想い出の品として飾られてしまうだろう。しかし本来は満喜子先生が日常的に使われていた物、ならば学園の歴史のなかで子どもたちを見守ってきた鐘を再び使いながら守り伝えることが大切。このような保存を「動体保存」と言う。これこそ正しい保存である、なんとも贅沢で、保存の王道とも言える。近江兄弟社学園の魅力はこんなところにもある。写真左下の灯りは、近江兄弟社学園校舎。【2010/07/22】