2008/11/27

NI-WA=NO-MA・その9=泥団子で描く/後日考

 NI-WA=NO-MA「泥団子プロジェクト」を終えた後(11月24日)、簡単なスタッフ会議・反省会を行なった。いろいろな課題と今後のヒントが出た。さて今日はインターネットのexciteニュースに宮崎駿監督の記事があった。「悪人を倒せば世界が平和になるという映画は作らない—宮崎駿監督〜映画哲学を語る(前編)」記事を読み進めるうちに泥団子プロジェクトで僕が企画の根底に考えていたことに通じる文章が目にとまった。
 「・・・子どもたちが字を覚える前に覚えなければいけないことがいくつかあって、これは石器時代からやってきたことです。自分で火をおこして、燃やし続けて消すことができる、水の性質を理解している、木に登れる、縄でものをくくれる、針と糸を使える、ナイフを使える。これだけは国が責任をもって子どもたちに字を教える前に教えなければいけないと思っています。」(上記記事より)
 考えればこれらすべての体験は特別なことではなく、日常の庭づくりで体験出来ることだ。庭づくり・庭いじりこそ、現代の子どもたちが「字を教える前に覚えなければいけないこと」に満ちている。幼稚園・保育園や小学校低学年の授業に「庭いじりの時間」なんてのがあればいいのに。そして高校や大学では卒業のための取得単位として3ヶ月以上の農業体験が必要。どこかの学校でしませんか? いや宮崎監督の言葉を借りるなら国の責任、つまり「国の制度=懲農制度」としてする? 環境にも医療にも効果的だろう。【2008/11/27】

2008/11/25

NI-WA=NO-MA・その8=泥団子で描く




ボーダレスアートミュージアム・NO-MA 地域交流事業「NI-WA=NO-MA」の第三回目(泥団子プロジェクト最終回)。今日は第一回目に作った泥団子を使ってキャンバスに絵を描いた。絵具(泥絵具)は、草木や土、炭など自然の素材を加工して作ったものである。草木は煮出し、土はふるいで細かくし、炭は割って粉にすることで顔料とした。それぞれから得た顔料に土と糊を加えることで緑茶色(ヨモギ)、紫色(マメツゲ)、なんとも言い難い青黒色(イヌタデ)、鮮やかな赤紫色(ヨウシュヤマゴボウ)、茶色(桜葉+紅茶)、黒色(炭)の6色がそろう。これはかつて僕達人類の祖先が描いた洞窟壁画や地球上の各地域に暮らす先住民の絵の描き方と同じである。絵具は買うもの、チューブから絞り出すものと思っていた子どもたちには新鮮だったに違いない。参加者全員が見守る中、一人ずつ自分の泥団子に絵具をつけキャンバスに転がす。極太、極細、ゆらゆら、Uターン・・・子どもたちが泥団子と泥絵具で描いた約30本の軌跡はすべて異なり、かつ全体の統一感にあふれていた。今回のプロジェクト記録及び作品は、NO-MAの蔵で12月10日頃から展示予定である。ただし、庭に並べたシードボールの観察記録はまだまだ続く。【2008/11/24】
Photo上 : 泥団子で描いた絵
Photo中:炭を石でたたいて粉にする
Photo下:全員が見守る中、キャンバスに一人ずつ自分の泥団子に絵具をつけ転がす
@会場:滋賀県近江八幡市永原町中 尾賀商店=築150年の家屋
写真撮影:武壮隆志さん(カウチル日記 cowchil.exblog.jp をご覧下さい)

2008/11/22

アーボリストと言う職業(2)


アーボリストの小林君(*1)から彼が書いているフリーペーパーが届く。本題の堆肥づくりよりも「髪の毛を切った!」(彼の場合、伐ったという方が適切か?)ということが印象的な一文。これで木登りの時に標準サイズのヘルメットがかぶれる?【2008/11/21】
*1 アーボリストと言う職業(1)10月21日をご覧下さい。

2008/11/19

市民ガーデン(3)ニュースレター創刊号

いよいよ「(仮称)小諸・市民ガーデン」プロジェクトが動き出した。市民・地域住民の方々に広く知ってもらうためにニュースレター(まちづくり通信の中に入る)も出来上がった。今回のプロジェクトのような公園づくりは事例が少ないだけに手探り状態だ。さてさて市民の皆さんの反応は如何に!【2008/11/19】

2008/11/15

雑草を考える

 夏前にNHKでイングリッシュガーデンの番組を放映していた、紹介された庭園の一つにコッツォルズ地方の「KIFTS GATE GARDEN」があった。この中で庭のオーナーのことばが「雑草は種をつけるまえにとらなければいけない」とナレーションで通訳された。確かにオーナーは「ここのWEED(=直訳だと雑草)は取り除かないといけない」と話している(英語では)。しかし、その雑草はオーナー自身がそこに植えた結果、旺盛な繁殖を行っている植物である。(実際に植物層の貧相な英国の自然においては雑草とて人為的に植えられたものがほとんどだ)そのような庭の歴史と背景を考えるとこのNHKのナレーションは適切でない。この場合は、「この草は庭のここのエリアで他の植物が生育するために取り除かなければいけない植物」もしくは「この草は他の草の生育にとって望ましくないので取り除かなければいけない」と訳されるべきである。これは実際の取材現場のプロデューサーまたは通訳の理解不足・勉強不足によるものかどうかは判らないが、もう少し視聴者に対して適切な表現をしてもらいたいと思った。(取材の中で、その雑草はどういうものか、どこから来たものか、なぜ必要ないのか・・・の裏をとることが大切)このちょっとしたあやまちが庭づくりにおいてある誤解を生み出すことになる。つまり「雑草はとらないといけない」。このような初歩的なミスが最近のTV番組に多い気がしてならない。一方、今年6月に世を去ったターシャ・チューダの取材では、この点については感心するばかりにきっちりと取材がされていた。こちらは気難し屋のターシャ・チューダとの長期にわたる取材の結果だと思う。やはり時間のなかでの共有体験がいいものづくりには欠かせないと言うことか。話しを庭にもどし「雑草の考え方」として、「ある特定の場所で自分が育てたい植物の生育を妨げるある種類の草花を雑草」と言うことにしよう。だからどのような草花も雑草となり得るし、また雑草は必ずしも取り除く必要は全く無いのである。
 小諸・市民ガーデンの打合せでW氏のご自宅でお世話になる。ベッドの横にターシャ・チューダの写真集を見つけ、読みふけるうちに少し前に気になったことを思い出した。【2008/11/16】
Photo : 小諸のWさんの庭、先日NHKの庭番組で紹介された。中央の井戸は、実際の井戸ではなくダミー。

2008/11/09

草木染め

近江兄弟社学園のヴォーリズデイ(学園の文化祭的な行事)に参加させて頂いた。小学校保護者の方々と「草木染め工房」(*1)を開いた。メニューは二種類、「桜の秋葉染め」と「セイタカアワダチソウの花色染め」。桜の葉(学校の正門)とセイタカアワダチソウの花(近くの河川敷で採集)の煮汁(染液)で木綿のエコバックを染色した。媒染液の材料は小学校の水田から集めたワラ灰とミョウバン。材料は出来るだけ学校とその周辺で簡単に入手できるものにこだわった。結果は写真を見ての通り、材料も条件も同じなのに作者ごとに違う色と模様がとても面白い。(Photo : 黄色がセイタカアワダチソウ、赤茶色が桜葉。桜葉染めのバックは桜餅の香りがします。白い部分は輪ゴムで絞りをかけた部分。)
 簡単に出来るので庭の落ち葉や剪定した枝葉でも試したい。方法を簡単にご紹介します。1)染液をつくる:まず鍋に枝葉(枯葉、生葉・生枝を問わない、でも泥や汚れは洗っておく)と水を入れて20〜30分ぐらい火にかけ、煮汁が出たら枝葉などをザルで漉し、残った煮汁が染料となります。2)媒染液をつくる:灰が手に入ればそれを使い、なければ薬局でミョウバンを買って(大きめの洗面器にティースプーン一杯ぐらいをいれ水が透明になるまで撹拌する)それぞれの水溶液を作っておきます。なければ無媒染でもかまいません。3)染める前に:布は事前にお湯で十分に洗いのり等の不純物を取っておく。布を輪ゴムで縛ることによって模様もつくれます。4)染める:布を作った煮汁(染液)に漬けます(ナベを火にかけたまま15〜20分)。5)媒染:布が十分に染まったら良くしぼり、別のお鍋に用意しておいた媒染液の中で5〜10分程度振るいゆすぎして発色させます(この時にまんべんなく布を液の中で泳がせるとムラが出ない)。5)最後に:布を水でゆすぎ、絞り、干す。乾いた後にアイロンをあてる。アイロンで熱を与えると変色する場合もあります。どんな色に染まるかはお楽しみ(*2)。染めの作業はほとんど料理の世界。庭いじりは植物を育てること以外にもこんな愉しみもあった。皆さんも一度、お試し下さい。
【2008/11/09】@滋賀県近江八幡市近江兄弟社小学校

*1:「染め」は古来より草木や泥を染料としたものだから「草木」という現代の言い方に抵抗がある、しかし今回はあえて「草木染め」としました。現代の染めを「化学染料染め」と言う方が正しい。
*2:草木染めのテキストを読むといろいろなことが書かれていますが、あくまでも庭の愉しみの延長なのでこの辺りはこだわりません。むしろ自由に楽しみたい。

2008/11/08

NI-WA=NO-MA・その7=シードボール「かいわれ団子3」

NO-MAの庭のシードボールが一段と砂利の中の緑の島になって浮き上がってきた。【2008/11/08】

2008/11/07

環境カウンセラーと五十鈴川

環境省が定める制度に環境カウンセラーというものがある。環境カウンセラーとは、市民活動や事業者の中での環境保全に関する専門的知識や豊富な経験を有し環境保全活動に関する助言などを行う人材として、環境省が審査を経て登録するものである。僕もこの環境カウンセラーの端くれで、今年度末までに更新をしなければならない。さてこの更新は3年毎必要であり、3年と言う期間中に少なくとも一度の研修を受けるべきとされている(以前は更新の必要条件だった)。今年も全国の主要な地域で様々なテーマで研修が行なわれているので自分が求める内容を選び研修を受ければいい。僕は「生物多様性」をテーマにした名古屋での研修に参加した。会場は「国際会議場」と称するすばらしい建物であり、参加者数に有り余るほど広く、時期外れの冷房を効かせた部屋が用意されていた。環境問題を語るには面白い。ところが、研修の内容はメインテーマである「生物多様性」はかすっただけ、環境カウンセラーに求められている専門知識を実践として活かす内容にそったものともほど遠いものだった。その内容は、行政の考える環境教育施設の紹介に終始した。施設の将来構想といえば既に海外の環境教育系の施設が相当前から実践しているものである。どこにも独創性や先進性が感じられない。研修とは名ばかりの表面的なものだったことは残念。唯一、地元の方の実践発表は面白かった。やはり紆余曲折の永年に渡る活動は興味深い。結局、研修の終了を待たずに会場を後にすることにした、研修担当係の方に名札とアンケート用紙を渡すと「ここで帰ってしまうと研修終了証書の発行が出来ませんよ・・・」と。そんな研修終了証書の発行のことよりも研修自体のあり方を見直してもらいたいと思った。それに僕は研修終了証書なんて興味がない(もちろん興味がある人もいるだろうけど)。それよりもこの機会に伊勢神宮の森に是非とも行っておきたかった・・・、名古屋から伊勢神宮に向う。十数年ぶりに訪ねた伊勢神宮の森と五十鈴川は、期待を裏切らないすばらしさだった。たった数時間だけだが紀伊山地を源にする川の流れと周囲の森を歩き、身を浸すことは、あのすばらしい国際会議場でいくら時間を使ったとしても得られないものがある。まさにここには「生物多様性」の森があった。つまらない机上の研修よりも、ここの森を歩くほうが質も実もある。おまけにおいしい「赤福」もある。【2008/11/05】@伊勢神宮・内宮・五十鈴川

2008/11/04

NI-WA=NO-MA・その6=泥団子で絵を描こう(素材)

11月24日にNO-MAで予定している「泥団子シリーズ」の年内最終回「泥団子で絵を描こう」の為に絵の具の材料となる草木の実を探した。いっぱいあるはずのクサギとヨウシュヤマゴボウの実がぜんぜん見つからない。あてをつけていた安土文芸の里周辺を歩くも収穫はない。これには正直まいった。五個荘町に入ってから少しずつ見つかるが依然として収量は少ない。この原因を考えた、まず一つ目:連休のために路傍の草刈りがされてしまった。そして二つ目:これらの草木は人の手が入った野山・林縁に真っ先に成長する種だ。ひょっとすると以前に増して林縁に人の手が入らなくなったためにこれらも生育することが難しくなったのか。やっと見つけた場所は道路のアスファルトの端っこだった。庭づくりの話から遠い話題だがご勘弁を。 【2008/11/02】Photo : ヨウシュヤマゴボウの実 @滋賀県能登川