2008/11/15

雑草を考える

 夏前にNHKでイングリッシュガーデンの番組を放映していた、紹介された庭園の一つにコッツォルズ地方の「KIFTS GATE GARDEN」があった。この中で庭のオーナーのことばが「雑草は種をつけるまえにとらなければいけない」とナレーションで通訳された。確かにオーナーは「ここのWEED(=直訳だと雑草)は取り除かないといけない」と話している(英語では)。しかし、その雑草はオーナー自身がそこに植えた結果、旺盛な繁殖を行っている植物である。(実際に植物層の貧相な英国の自然においては雑草とて人為的に植えられたものがほとんどだ)そのような庭の歴史と背景を考えるとこのNHKのナレーションは適切でない。この場合は、「この草は庭のここのエリアで他の植物が生育するために取り除かなければいけない植物」もしくは「この草は他の草の生育にとって望ましくないので取り除かなければいけない」と訳されるべきである。これは実際の取材現場のプロデューサーまたは通訳の理解不足・勉強不足によるものかどうかは判らないが、もう少し視聴者に対して適切な表現をしてもらいたいと思った。(取材の中で、その雑草はどういうものか、どこから来たものか、なぜ必要ないのか・・・の裏をとることが大切)このちょっとしたあやまちが庭づくりにおいてある誤解を生み出すことになる。つまり「雑草はとらないといけない」。このような初歩的なミスが最近のTV番組に多い気がしてならない。一方、今年6月に世を去ったターシャ・チューダの取材では、この点については感心するばかりにきっちりと取材がされていた。こちらは気難し屋のターシャ・チューダとの長期にわたる取材の結果だと思う。やはり時間のなかでの共有体験がいいものづくりには欠かせないと言うことか。話しを庭にもどし「雑草の考え方」として、「ある特定の場所で自分が育てたい植物の生育を妨げるある種類の草花を雑草」と言うことにしよう。だからどのような草花も雑草となり得るし、また雑草は必ずしも取り除く必要は全く無いのである。
 小諸・市民ガーデンの打合せでW氏のご自宅でお世話になる。ベッドの横にターシャ・チューダの写真集を見つけ、読みふけるうちに少し前に気になったことを思い出した。【2008/11/16】
Photo : 小諸のWさんの庭、先日NHKの庭番組で紹介された。中央の井戸は、実際の井戸ではなくダミー。

0 件のコメント: