アサヒビール大山崎山荘美術館で開催されている「美しきカントリーライフ〜理想郷への回帰とたびだち」=(19世紀半ばから20世紀前半のフランス、イギリス、日本に焦点を当てた芸術家たちが求めた田園での芸術家村コミュニティーが紹介されている)を観に行く。本美術館は、京都・大阪間の天王山の中腹に位置し木津・宇治・桂川の三川を望む、大正から昭和初期にかけて加賀正太郎(1888〜1954)によって建築された「大山崎山荘」(登録有形文化財)を本館として、建築家・安藤忠雄設計による新館(1995年竣工)とともに公開されている。アルピニストだった加賀正太郎が英国で見たチューダー様式の建築に感銘を受け建てたと言われる。なだらかな丘陵の地形を活かした配置と庭園は、なかなかすばらしい。それにもまして驚いたのは新館。古くから存在していたであろう木々と池を中心とする庭園を損なうこと無くコンクリート打放しの構造物をすっぽりと地面に埋め込んでいる。庭園の池、木立越し見える新館の一部は池の向こうに滝があるかのようだった。さすがである。しかし本館と新館の取り合い部など首を傾げたくなるようなディテールも目につく(こんなところは普通の人は気にしないと思いつつ)、また本館テラスの睡蓮池に沿う温室棟の感情豊かなデザインと職人技を見ると今の建築が軽く薄っぺらに見えてしまう(新館が云々ではなく)。加えて、この手の施設にありがちな庭園の維持管理と活用への配慮が十分にされいないことも例外でなかった、つまり庭園木を残せば風景が保てるというのではなく、時には樹木を伐ってでも風景を守らないといけないこともあると言うこと。かつてあったであろう建物と庭園の関わりがさほど大切にされていない、このあたりちょっと残念。写真1:美術館玄関と本館、写真2:庭園越しの新館、写真3:本館テラスと睡蓮池、温室棟、写真4:温室棟(残念ながら入れません)【2010/05/29】参考:アサヒビール大山崎山荘美術館、入館料・一般700円、月曜日休館、午前10時〜午後5時 http://www.asahibeer-oyamazaki.com
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