2008/09/16

今日の仕事場/オバナ・タニグチ・ドウノマエ

先日の森林再生の会議の時に聞いた言葉を紹介します。近年、気候の変化に伴い自然災害(特に雨による土砂災害、水難事故)が多い、今まで信頼されてきた砂防ダムの崩落もあった。その自然災害へのリスクマネージメントをちゃんと森に暮らす人々は古くからいい伝えとして持っていたと言う。「オバナ・タニグチ・ドウノマエ」なんだか呪文のようだ。「オバナ」とは、すーっと一定の勾配で降りている尾根の傾斜が急に変わっている場所のこと(尾鼻)をさす(昔、地崩れがあったと想像される場所)。「タニグチ」とは、沢と沢が出会う場所であったり沢の入口(谷口)(雨が降った時に水量が急に増す場所)。最後の「ドウノマエ」とは、お堂や祠の前のこと。自然への崇敬の念。「水の神様、山の神様」に対しての礼儀である。この言い伝えは三重県で伝えられる。興味深いことに、これが大台ヶ原の山を越え奈良県側にいくと「オザキ・タニグチ・ミヤノマエ」に変る(尾鼻が尾先に、堂の前が宮の前になる)。つまりこのような自然災害の起きやすい所には家を建てはいけない。そして自然への感謝を忘れないようにと言うことだろう。同じような話しは、山梨県の竜王というところでも聞いたことがある。「竜王」の辺りには家を建てるもんじゃないと言う。この場合の「竜王」は、川が蛇行していた様相からついた地名。よって一帯は古くから洪水敷きである、河川の堆積地盤で家を建てるには相応しくないということ。昨年、新潟の山古志村(地震被災の)を訪れた時、驚いた。遠くから高い樹々が残る場所には必ずと言っていいほどそこにはお堂やお宮があったからだ。近くには古い民家も健在だった。確かに予想を超えた地震災害ではあるが「オバナ・タニグチ・ドウノマエ」の言い伝えは明らかなように感じた。今の自然災害は、「地」の脈絡を読めなくなった都市計画や土木技術の責任も大きい。次回は庭づくり隠しポイント「オバナ・タニグチ・ドウノマエ」を紹介します。【2008/09/16】

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