2011/09/25

NHKスペシャル「クニ子おばばと不思議の森」

 TV取材協力したから見よと夜、友人より携帯メールが入る。その番組タイトルは、「NHKスペシャル/クニ子おばばと不思議の森」。かつて何度も訪れたことのある九州山脈ど真ん中の椎葉村(宮崎県)が舞台だ。昔ながらの焼き畑農法を守る椎葉クニ子さん(87歳)が主人公。クニ子さんの生活や森の話をカタツムリが語り部となって紹介する。雑木林の伐採/椎茸栽培〜焼き畑/火入れ〜そば栽培/山菜〜小豆〜大豆、といった一連の農法が丁寧に紹介されていた。クニ子さんの生活と思想は「森の民」として断じて無駄の無い合理的でシンプルな、そして森の神様のもとで恒久的持続可能な環境に基づいていたものだ。東南アジアの森の民とまったく同じ。その話は民俗学、博物学、生態学・・・の根底に流れるもの、面白いし、全て経験中から出てきたもので富んでいた。一見、自然環境にとって乱暴な見える焼き畑が、実は森にとって大切な「かく乱」であり、その刺激が森の再生を促すことになる。いま各地で猛威をふるう「カシガレ(ナラガレ)被害」、先日の台風による甚大な被害・・・森の民・クニ子さんの教えの中にヒントがいっぱいあったのではないかと思ったのは僕一人ではないだろう。クニ子さんが守る想い出のナラの木、神様と慕うモミの木、30年前に蓄えたヒエがまだ発芽し食用となること、火入れの作法・・・もっと見たい。
 
 この手の番組構成と撮影手法は、NHKが今森光彦さんの里山特集ですっかり身につけたようだ。ただし撮影手法にもうひと工夫欲しい、一時間版番組としての編集に無理があった?、そして少しの疑問点も残った・・・が結果としてはなかなか良い内容。続編を望む。【2011/09/25】

参考 http://www.nhk.or.jp/special/onair/110925.html

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