2009/06/18

庭を旅する/第五歩 京都御幸町教会 ★★★★☆


 今回は京都御幸町教会を紹介。本教会はヴォーリズ氏による設計、1913年(大正3)建造、現在は京都市文化財建造物に指定されている。ここの庭の改修設計を約10年前に行なった。この時にはザクロ古木の移植、庭石や石張りをそのまま補修して残し、レンガ塀の移築、町に開放した前庭・・・と小さな庭ながらいろいろと試みをさせて頂いた。ザクロ古木の存続に関しては予算の条件もあり伐採の危機もあったが、施主には「伐るなら仕事を降りる!」とわがままを通させてもらった。ザクロは、その後見違える様に元気になり、京都市の景観木に認定を受け、今年もたくさんの花を咲かせてくれた。建築家にとって建物が文化財なら、造園家にとっては建物と同時期に敷かれた石畳が文化財であり、樹木が文化財である。文化財を修復・復元すると言う事は、そのものが生きた環境を修復・復元すると言う事だと思う。ザクロを移植した後、近くを通ったお年寄り女性が「小さな頃、この木に登って叱られた。この木が残って良かった。」と話された。この時、見栄えの悪い弱った古木がやっぱり教会と同じ時代を生き抜いて来たものと判った。小さな前庭だが、前を通り度に今もいろいろなことを教えてくれる。今回は手前味噌で★四つ。【2009/06/17】
礼拝堂内部の見学は可能、ただし事前連絡が必要。
連絡先:日本キリスト教団 京都御幸町教会(075-231-3441)
所在地:京都市中京区御幸町二条下ル山本町 

Photo(上)教会前庭全景、右がザクロの古木、車止めは当時の門柱を再利用
Photo(下)昔の門扉の記憶をとどめる敷石

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