2008/08/10

道具考/その3 ジョウロ(如雨露)


今回は、ジョウロ(如雨露)の話し。雑誌等でよく目にするジョウロのオリジナルデザインは、英国製のHAWS(ホーズ)社のもの。これはピーターラビットの絵本にも登場する。ホーズ社は、1885年に園芸家ジョン・ホーズによって創業、氏は翌86年ウォータリングポットを改良し特許を申請。それによると『かってないこの新しい形は持ち運びと水やりを簡単にし、同時に大量散水が可能で付属品も揃えたものである。』とあるらしい。この時、作られたウォータリングカン(ジョウロ)は完璧なバランスに仕上がり、満水時でも、半分でも、空の状態でもユーザーにストレスをかけないデザインはホーズ社に大きな発展をもたらした。当時、ウォータリングカンと言えばバケツのようで、すべて手作りだっただけに、このホーズの使い勝手のよいデザインと管理された品質は注目を浴び、ロンドン近郊や地方都市の温室栽培家、英国中の造園家・園芸家に広まっていった。今ではブリキ製、銅製に加えプラスチック製のものが作られているがオリジナル・デザインはほとんど変わる事なく続いている。他社からも多くのものが市販されているが品質の良いものは決して安くはない、しかし永く付き合う道具として良いものを選びたい。一つのものを丁寧に永く使うことは、植物を育てる時に大切な気持ちと通じるものがあるからだ。

■なぜジョウロを使うのか?
ジョウロでゆっくりと草花に水を与えることはホースの水播きに比べると少々面倒くさく感じるが、逆に草花の一株一株をよく観察することができる。植物が病気になったり、毎日の成長の変化が判る。草花の種類によって必要な水の量も異なる、そんな時もジョウロを使うことによって与える水の量が容易にコントロールできる。これはホースによる灌水ではなかなか出来ないこと。また、液肥を与えるときは希釈の目安にもなるので必需品となる。

■ジョウロの選び方
・ハス口(蓮口):ジョウロの先につけ水を細かくする部分、名前の由来は形が蓮の実(花が終わった後)に似ていることから。ハス口の細孔はとかくゴミがつまりやすいので、取り外せることが条件。また小さな鉢や草花の根元に直接、水や液肥を与える時はハス口が取り外せる方が便利。
・形と材質:形はおおむね同じだが、持ち手は大きく、首の部分が長いほうが使い勝手が良い。また上部の開口も大きいほうが内部を洗う時に楽。材質は、ブリキ、銅、ステンレス、真鍮、プラスチック等があるが、ブリキ製かプラスチック製が一般的。ただしブリキ製は丈夫だが少々重め、プラスチック製は軽量だが耐候性に欠ける。ハス口がなくパイプ状に細くなっているのは室内用。形は上から見た時に一般的な胴部が丸いタイプのものより、すこし楕円形になったものやハロスター社の少々薄っぺらなタイプ(最近、インターネットで入手出来る)のものが使いやすい。
・大きさ(容量):あまり小さいと頻繁に水汲みが必要、逆に大きいと水を入れた時に重くてなかなか大変。通常の使用では5〜6リットル程度のものが使いやすい。ただし、室内専用であれば1〜2リットル程度が適当だろう。【2008/08/10】

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