2008/08/02

道具考/その2 移植ゴテ


移植ゴテは庭仕事に欠かせない道具の一つ、作業をしているといろいろなタイプのものを試したくなる。いくつか使っていると、お国柄や目的の違いが判ってくる。やはり自分の手や指の延長として活躍するものなので使い易いものを選びたいものだ。こどもの頃のおなじみタイプは、土を掘る部分(ヘッド)から柄のところまで金属で一体となっていたもの。どこでも手に入り安くて軽いが、ぺらぺらなので一生懸命に土を掘るとちょうど柄の付け根(首の部分)のところでグニャリと曲り、繰り返し使っている間に折れてしまう。ほったらかしにするとすぐにサビサビ。幸い最近は、ずっと良質のものが入手できるようになったが、残念ながら日本製には満足出来るものが無い(これほど園芸が盛んなのに不思議だ)。そこで登場するのが、イギリスのSpear & Jackson社の製品(愛用しています)。ステンレス製のヘッドに木製の柄、デザインはこれとって特徴が無いが、ヘッドは土を混ぜたりする時に大変に具合の良いカーブを持ち、全体のバランス、ヘッドの大きさと薄さ、柄の角度もバツグン、柄の部分は木製だから寒い時期の作業でも冷たくない。そして、何よりも手の小さな人にもしっかり握ることができる。参考までにイギリスでは、移植ゴテも幼児用、子供用(それぞれ大きさが異なる)のまったく手抜き無しの本格的なものが販売されている。
写真左より、オランダ・SNEEBOER社製(頑丈なステンレス製だがフラットな形のため使い勝手にややくせ有り)、中央の3本が英国・Spear & Jackson社製(どれもとても使いやすい)、右は何処製か不明・アルミ製の細身のもの(鉢苗の植え替えに便利)。写真には無いがカナダ製のアルミ鋳造タイプ(本体と柄が一体のもの)は、大きく握りにくい、刃(本体)の部分が厚い、柄の部分が冷たく疲れる・・・結局、使い物にならなかった。そこで道具箱の中でも自然淘汰が起る。やはり永い園芸の歴史の中で生まれ育ち、残ってきたものはすばらしい。【2008/08/02】

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