今日は「梅田スカイビル庭園・希望の壁と北ヤードグリーンパーク化を考える」に参加(写真上:チラシ)。ちょうど20年前に新梅田シティ(積水ハウス)が建設された。これはビルの真ん中を額縁のように開けて、巨大建築物の新しい姿を生み出した。さらに屋上部に空中庭園、そしてビルの足元には、いのちのつながりを実現し、様々な生き物が集まってくる「新・里山」が造られた。ビル開発の名ばかりの公開緑地ではなく、そこは棚田、鎮守の杜、雑木林を作り、積極的に人との関わりで育て活かしていこうというものだった。現在ではこのような計画は当たり前になっているが、生物多様性を見据えた新しい森づくりそしてものすごく新鮮で注目された。20年が経て多くの市民の関わりも生まれ、森も育ち始めた。さてその場所(もしくは隣接して)に建築家・安藤忠雄氏が巨大な緑の壁(名付けて希望の壁)と称する構造物を提案(写真:中)したと新聞報道(毎日新聞平成24年12月19日朝刊)された。それに驚き問題提議をしたのが先の公開空地の設計者・吉村元男氏(造園家)。今日は、公開緊急座談会として互いの意見を聞き、これからの北ヤード開発を考えると言うものだった。
吉村さんの意見は、街の中に新しく生態系を生み出してきた新梅田シティ公開緑地にとって、また街の利用者にとって「希望の壁」は巨大建造物以外の何ものでもなく、街の風を殺し、視界を防ぎ、20年の緑の歴史とそれを育ててきた市民を無視するものである。街が巨大化するなかでなによりも大切な環境と言うものを地面の上で緑で生み出していくことが大切であり、緑の風景とは大地に根ざしたものであるべき。一方、安藤さんは提案は業務(契約上の仕事)ではなくあくまでも提案、それを造るか否かは相手の問題、さらに緑の壁はネットで造るので風も通るし、大きな穴(窓)も開いている。自分は美しい街を作りたいんだ。・・・と言う。結果としては、なんともすれ違い的な座談会ですっきりしない。ただただ安藤さんの話術は大変に上手かった、一方的に自分サイドの話を披露し、私は皆さんと気持ちを同じにする一市民ですよ、としか言わない。これからの動向に目が離せない。
僕の意見としては、20年の緑の歴史と市民活動こそ今一番の新梅田の宝である。安藤さんの希望の壁は、取り上げて新しい技術でも、ましてやそれができることで「希望」が生まれるとも思わない。もっとも「希望の壁」の元は安藤さんが話の中ですこし漏らした「東北の震災瓦礫を使ったモニュメント」が緑に置き換わったものだろう。緑に置き換わった以上なんともイベント的で興味も湧かない。あえて「希望」と言うならば、日本の地方に残る屋敷林に匹敵するほどの「新梅田の屋敷林」を100年かけて育てたいと・・・そのぐらいのことを言って欲しいと思うのである。でもこんなアイデアは地味でメディアが飛び付かないということも現実だろう。さて巨大な緑の壁と言うなら、英国エディンバラ植物園のブナの巨大生垣である。この生垣は、高さ8m以上、長さ200m程、厚さ1.5m程、で100年かけて育てられてきたものである。こちらは地味な存在ではあるがエディンバラ植物園のお宝の一つと言ってもいい。【2013/01/12】
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