2010/10/30

森の世代交代

 京都では、ナラ枯れ(=カシ枯れ)といってナラやカシの木々の枯死が目立っている。その被害は大変なものである。これはカシノナガキクイムシ(養菌性のキクイムシ)と言う名の甲虫が特定の樹木に集中して穴を開けて中に卵を産み、そして夏に一本の木から7千以上の幼虫が羽化します。この幼虫が食料としてナラ菌を樹木内で培養する。樹木の幹の辺材部でナラ菌が繁殖した場合に、樹木の通水機能が破壊されて木が枯死する。京都府立植物園でも大径木が次々と被害に遭っている。今年夏についに大きなピンオークが枯死のために伐採された。するとどうだろう、木の樹冠がなくなりぽっかり開いた地面には陽光が射し、沢山の樹木の実生(みしょう)が芽ばえていた。親木であるピンオークの実生を始め、クヌギ、ナラガシワ、アラカシ、ウバメガシ、アカメガシワ、トベラ、ケヤキ、エノキ、ネズミモチなどなど、中には近くにないナンキンハゼまであった。きっと鳥達が運んできた樹木の種子が一度に芽ばえたのだろう。その他、草本類も沢山生えている。この一部を除き、周りの樹林の下には枯葉ばかりで苗木なんて全然ない。これも森の世代交代と言ってもいいかもしれない。でもドングリをつける樹木が短期間に、しかも多量に枯れた時に、その種子を食料とする野生動物にとっては死活問題だ。山野に多様な樹木が、多量に生育する環境が不可欠である。この食料問題は、野生動物の問題ではなく、明日の我々人間の生活にも置き換えられる。@京都府立植物園【2010/10/30】

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