仕事で桂離宮に行く。前夜からの雨でお庭全体が瑞々しく大変に美しい。ここ桂離宮(*1)の庭はいろいろユニークな試みがされている。茶屋の窓からの風景、灯籠の形、園路の床材、飛び石の形などどれもすばらしい。このお庭を見るには事前に宮内庁に参観申し込み(*2)を提出しなければいけない。そこで今日は参観申請をせずに(*3)桂離宮の特異性が見れる庭を紹介。
桂離宮の表門から左に道路(東方向)を進むと間もなく高さ2.5mほどの緑の壁が見える。これが桂離宮でしか見ることが出来ない「笹垣」、生きた竹を枝折る(しおる)ことで造られている。内部は「建仁寺垣」と呼ばれる竹垣があり、その表面に生きた竹が固定されている。この「笹垣」は、10年毎に造り換えられる(更新)と教えて頂く。この10年という年数は、内部の「建仁寺垣」の耐用年数と竹の寿命とが上手く合致している。この「笹垣」に使われる竹は2〜3年生竹、この竹の寿命が約12〜13年。「笹垣」は、この新しい竹の幹に切り込みを入れ、ねじりながら枝折り「建仁寺垣」の頂点から地面にそって固定することによって造られる。横から見れば地面から生えた竹(垣の庭側)が湾曲して、(庭の外側の)地面に入っていく感じ。つまり竹の根元(庭側)と頂点(外側)は地面にある。使われる竹は建仁寺垣の近く過ぎると上手く曲がらない、遠く過ぎると無駄である、そのため建仁寺垣と程よい距離を保っている。「笹垣」を造った後は、垣近くに生える竹を伐りながら手入れされる、垣を作り替える数年前からは(垣から)程よい距離に生える竹を育てていく。この将来を見据えた管理時間の計画と技術そしてユニークさに驚く。庭を手入れすると言う言葉の意味を凝縮した話しを伺うことが出来た。
余談だが多分、この「笹垣」を乗り越えようとしても足がかりとなるはずの竹の枝葉は滑りやすく、しかも下を向いているので登れない。風景と機能を両立させたすばらしいアイデアだと思う。
【2008/10/23】
Photo(上):道路に面した笹垣(表側)、人為的に固定された竹とその背後に自由にゆれる竹との対比が美しい。
Photo(下):笹垣の裏側(つまり庭側)、竹のしなり具合がよく判る。
*1 桂離宮(かつらりきゅう):17世紀の初めから中頃までに、八条宮初代智仁親王と二代智忠親王によって造られたもので、日本庭園として最高の名園といわれています。昭和8年(1933)ドイツ人建築家ブルーノ・タウト(1880年〜1938年)が桂離宮を拝観、「泣きたくなるほど美しい」と絶賛。海外にその存在を紹介する。
*2 参観申し込み/宮内庁ホームページ http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/katsura.html
*3 笹垣、穂垣、表門は外部に面しているので許可書がなくても誰でも見ることができます。
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